What's 前立腺がん - 前立腺がん、よくある質問 -
前立腺肥大症を治療すれば、前立腺がんにはならないのですか?
前立腺肥大症は良性の腫瘍で、前立腺がんは悪性の腫瘍ですが、遺伝学的にはまったく別の病気です。ですから、治療法にもよりますが、肥大症を治療しても、直接、がん予防になるとは限りません。
肥大する場所(内腺)と、がんができやすい場所(外腺)が異なるため、内腺のみを切除する前立腺肥大症の手術では、がんになる可能性はなくなりません。
前立腺がんの予後について教えてください。
予後は、前立腺がんが発見されたときの病期やがんの悪性度に最も大きく影響されます。前立腺がんの多くはゆっくりと進行しますが、悪性度が高いと、さまざまな治療を行っているにも関わらず、進行してしまいます。早期に発見された場合は治療選択肢も多く、根治率や適切にコントロールできる可能性も高まります。一方、がんが進行するにつれ、治療選択の範囲が狭まり、根治も難しくなっていきます。
また、とくに発症年齢が高いがんですから、治療法を決定するうえで、病期だけでなく、それぞれの患者さんの年齢や合併症などの全身状態が大きな要因となります。
前立腺がんの予防に効く食べ物はありますか?
生活習慣病でもあるがんは、動物性の高脂肪・高コレステロールの食事をとり続けることで、発症しやすくなると考えられています。逆に、野菜や魚、穀類を中心とした昔ながらの日本の食事は、予防効果があるといわれています。
とくに、豆腐や味噌、醤油など、日本食には欠かせない大豆に含まれるイソフラボンは、さまざまながんに対する予防効果が期待されていますが、女性ホルモンに似た働きもあるため、前立腺がんに対する効果に優れているようです。ほかには、ビタミンAを多く含むニンジンなどの緑黄色野菜、抗酸化作用の高いリコピンを含むトマトなどもよいといわれています。
PSAという物質は男性にしかないのですか?
従来、PSA(前立腺特異抗原)は、その名前が示すとおり、男性にしかない前立腺だけでつくられると考えられていました。しかし、測定器の性能が高まり、ごく微量でも検出できるようになると、女性の血液中からもPSAが検出される場合があることが分りました。
それでも、PSAは前立腺に異常があると敏感に数値が上がりますから、がんを検知する第一歩として、また、治療中や治療後の経過をみるのに、とても有用なマーカーなのです。
前立腺はなぜ男性にしかないのですか?
前立腺は、男性の生殖機能に関わる内性器(体内にある生殖器官)ですから、男性にしかありません。その役割は、精子に栄養を与え、保護する前立腺液をつくることです。ちなみに、男性には前立腺がある場所に、女性には子宮と膣があります。
最近、尿の回数が多くなりました。これは前立腺がんの症状ですか?
健康な成人男性の場合、通常の1日の排尿回数は5〜6回ですが、8回以上になると頻尿と考えられています。頻尿も前立腺がんの初期症状の一つとして考えられます。
ただし、前立腺がんでなくても、腎臓や膀胱などの他の病気が原因になっている場合もありますので、一度、泌尿器科で検査を受けることをお勧めします。
背が高い(185cm以上)と前立腺がんになりやすい、というのは本当ですか?
前立腺がんになりやすい人について傾向を探ろうと、体格や人種、食事内容など、さまざまな疫学的調査が行われています。その中には、背が高い人は前立腺がんになりやすいとする報告もないわけではありませんが、それを否定する報告もあり、長身と前立腺がんの関連については確立した見解がありません。
50歳以上の3人に1人は前立腺の潜在がん(ほかの原因で死亡した人から偶然発見されるがん)であると言われるほど、大きく年齢に関わる病気です。したがって、身長にかかわらず、食事や運動など健康的な生活を心がけ、50歳からは検診を受けるようにしましょう。
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不安で胸が押しつぶされそうです。先生は忙しそうですし、誰に相談すればよいですか?
あなたの命に関わるかもしれないことですから、大きな不安は無理もありません。もし、治療や予後について分からないことがあれば、やはり主治医に質問するのが一番です。忙しそうだからと遠慮する代わりに、質問を箇条書きにしておくなど、工夫してみましょう。医師との架け橋でもある看護師に相談したり、医師に、診療時間外で相談時間がとれないかを尋ねてみてもよいのではないでしょうか。
しかし、医師から聞くべきことはすべて聞けたとしても、押しつぶされそうな不安が消えないこともあるでしょう。その場合は、心療内科医や精神科医、臨床心理士など、心のケアの専門家に相談することも考えられます。また、がん患者さんやその家族同士のさまざまなサポート団体に参加することで、同じ経験をしているからこそ、悩みや不安を分かち合い、支えあえることもあります。このような団体は、インターネットや書籍などでも見つかりますので、覗いてみてください。
私は前立腺がんですが、してはいけない運動などはありますか?また、逆にお勧めの運動はありますか?
ただし、痛みがあるときなどの運動は禁物です。重いものを持ったり、瞬間的に力むような運動も避けるべきです。自分の体力を十分把握して、決して無理はしないことです。適切な運動量については主治医と相談して決定するようにしましょう。
なお、前立腺がんの治療による主な合併症のひとつに尿漏れがありますが、これを改善するには骨盤底筋を強化する「骨盤底筋体操」が有効です。毎日続けることで、尿道や肛門が引き締まり、しだいに尿漏れの頻度は少なくなっていくはずです。
前立腺肥大症がひどくなっても、前立腺がんにはならないと聞きましたが、前立腺肥大症の人が前立腺がんを併発することはありますか?
前立腺がんも前立腺肥大症も、加齢とともに増えてくる病気です。前立腺肥大症が前立腺がんになることはないと考えられていますが、2つの病気が併発することはあります。
前立腺がんになりやすいのはどのようなタイプの人ですか?
前立腺がんになりやすい人のタイプとして、年齢が50歳以上、ご家族に前立腺がんの方がいる、欧米型の食生活を送っている、などが挙げられています。
前立腺がんと診断されましたが、日常生活で注意することはありますか?
前立腺がんにおいても、他の病気と同様に規則正しい生活を送り、適度な運動をすることが大切です。
食生活においては、香辛料、刺激物、アルコールなどのとりすぎはあまりよくありません。一方、トマト、スイカなどに含まれる赤色成分カロチノイドのリコピンや大豆に含まれるイソフラボンが、がん細胞の増殖を抑制する働きをもつ可能性が示されています。
また、前立腺がんには骨に転移しやすいという性質があり、骨に転移すると骨折を起こしやすくなります。骨への転移がある場合は、骨折に対する十分な注意が必要です。
前立腺がんは痛いのですか?
前立腺がんは、初期の段階では自覚症状がほとんどなく、痛みもありません。
前立腺がんが進行して尿道を圧迫するようになると、排尿時あるいは射精時に痛みを感じる場合もあります。また、尿閉(尿が出なくなる状態)になると、尿が腎臓から膀胱へ流れず腎臓にたまるため、背中が痛くなることがあります。
前立腺がんがさらに進行して体の表面のリンパ節に転移すると、その部分が腫れたり痛くなったりします。骨に転移すると臀部や腰の骨の痛みを伴うことがあります。
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前立腺がんにならないために日常生活で注意することは?
前立腺がんだけではなくすべてのがんに共通しますが、免疫力を高めたり、全身の血流をよくすることが、がんの予防にはよいでしょう。
そのためには、食べ過ぎや過度の飲酒は避け、とくに脂肪の摂取は控えめにし、緑黄色野菜を多くとるなど、バランスのとれた食生活を送ること、また、適度な運動を心がけ、ストレスをためないようにすることが大切です。
前立腺がんになると性機能は失われるのですか?
前立腺がんが大きくなると、尿道や膀胱の出口を圧迫するため、排尿が困難になるとともに性機能に支障をきたす場合があります。また、治療による副作用で性機能障害を発症することがあります。勃起障害が起こった場合は、勃起不全治療剤などにより治療をすることができます。性機能障害に関する治療については、主治医とよく相談してみましょう。
最近尿が出にくくなりましたが、前立腺がんの可能性はありますか?
前立腺がんでは、前立腺にできたがんがある程度大きくなると尿道を圧迫するようになり、尿が出にくくなるといった症状がみられることがあります。前立腺肥大症でも、肥大した前立腺が尿道を圧迫するために同じような症状があらわれます。
尿が出にくいなど気になる症状がある場合には、泌尿器科を受診して検査を受けることが大切です。
前立腺がんになるとどのような自覚症状があらわれますか?
前立腺がんは、早期には自覚症状はほとんどあらわれません。進行すると、がんが尿道や膀胱を圧迫して、尿が出にくい、排尿時に痛みがある、尿や精液に血液が混じるなどの症状があらわれることがあります。また、骨に転移すると腰や肩などが痛くなることもあります。自覚症状がなくても、前立腺がんを早期に発見するために、50歳を過ぎたら年に1度はPSA検査を受診してください。
前立腺がんは転移しますか?
前立腺がんは、進行するとリンパ節や臀部、腰の骨によく転移します。もちろん体内のほかの部位にも転移します。骨に転移した場合には、骨痛があらわれることがあります。
父が前立腺がんで亡くなりました。私もなりやすいのでしょうか?
前立腺がんの発症と家族歴については、以前から研究が進められていますが、欧米ではすべての前立腺がん患者のうち、遺伝性のものが5〜10%という報告があります。たとえば、父親、兄弟に前立腺がんの患者さんが1人いるとリスクが2倍、2人いるとリスクが5倍になるといわれています。家族に前立腺がんの患者さんがいる人では、若い年齢で発症することもありますので、40歳ぐらいからPSA検査を受けることが勧められます。
辛いものが大好きです。前立腺がんの治療中はやはり刺激物はいけませんか?また、食べたらよいものなどはありますか?
前立腺の病気では、香辛料、刺激物、アルコールなどのとりすぎはあまりよくありません。
トマト、スイカなどに含まれる赤色成分カロチノイドのリコピンが、前立腺がんの増殖を抑制する可能性があるという報告がいくつかあります。また、よく言われていますが、乳酸菌、発酵食品なども免疫力を高めるために勧められる食品です。
さらに、大豆食品を多くとる習慣のあるアジア人は、欧米人に比べて前立腺がんや乳がんの発生が少ないことから、大豆製品の効果を検証する試験がいくつか行われ、大豆に含まれるイソフラボンが、がん細胞の増殖を抑制する働きをもつ可能性が示されています。NCI(米国国立がん研究所)も、イソフラボン、リコピン、セレン、ビタミンDおよびEなどが、前立腺がんの細胞増殖を抑制するのに有効である可能性があると発表し、さらに検証するための研究を促しています。
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私は前立腺がんです。冷え性は体に悪いといわれていますが、やはり前立腺がんでも体を冷やすのはよくないのでしょうか?
前立腺の病気では、長時間同じ姿勢で座り続けることや下半身の冷えなどが症状を悪くするといわれています。とくに寒い時期には、カイロを使用する、下着を重ね着する、40度前後のぬるめのお湯にゆっくりつかるなど、できるだけ体(とくに下半身)の保温につとめましょう。
前立腺がんの分類の方法について教えてください。
また、がん細胞の悪性度を判断するのには「グリーソン分類(グリーソン・スコア)」が用いられます。TNM分類、グリーソンスコア、PSA値によって、患者さんの予後を診断します。
前立腺がんが人にうつることはありますか?
前立腺がんが人から人にうつって発症するということはありません。
普段から揚げ物など油っこい食事が多いのですが、前立腺がんの発症と食生活とは関係あるのでしょうか?
近年、日本で前立腺がんの罹患率が高くなっているのは、日本人の食生活の欧米化が一因であるともいわれています。明確に証明されてはいませんが、動物性脂肪、食用油、赤身肉、乳製品の摂取が多く、野菜類、食物繊維の摂取が少ない食生活を送っている人と前立腺がんとの関連が指摘されています。
他のがんの予防と同じように、前立腺がんにおいてもバランスのとれた食生活を心がけることはとても大切です。
前立腺がんと他のがんとはどう違うのですか?
前立腺がんは男性特有の病気です。前立腺がんは高齢者のがんといわれ、加齢とともに前立腺がんの発症頻度は増加します。また、比較的進行が遅いという特徴があり、がんがあっても知らずに人生を全うする人もいます。
前立腺がんは男性ホルモン依存性であり、男性ホルモンによってがんが増殖します。そのため男性ホルモン除去療法により前立腺がんは萎縮します。
前立腺にはどのような働きがあるのですか?
前立腺には、前立腺液を分泌する働きがあります。前立腺液は精液の一部となるもので、大きく分けて3つの役割があると考えられます。1つ目は精子を保護する役割です。2つ目は精子に栄養を供給する役割です。そして、3つ目が精子の運動機能を助ける役割です。ただし、前立腺の働きについては完全に解明されているわけではなく、よく分からないこともたくさんあります。
女性も前立腺がんになるのですか?
前立腺は男性の生殖器官のひとつで、男性だけにある臓器です。女性にはありませんので、女性が前立腺がんになることはありません。
前立腺肥大症から前立腺がんになることはありますか?
前立腺肥大症は良性の病気であるのに対し、前立腺がんは悪性の病気であり、これらはまったく別の病気であると考えられています。したがって、前立腺肥大症から前立腺がんに進むことはないと考えられます。
前立腺がんの患者さんは日本にどれくらいいるのですか?
2004年のデータでは、1975年に前立腺がんを発症した患者さんは2,000人程度でしたが、2000年には約23,000人、2020年には78,000人以上となり、肺がんに次いで男性のがんのうち、第2番目の罹患数になると予測されています。
若い人と高齢の人ではどちらが前立腺がんになりやすいのでしょう?
年齢が高くなるにつれて、前立腺がんを発症する人の割合が高くなっていきます。特に50歳を過ぎるころより前立腺がんの患者数は増加します。
20歳代や30歳代で前立腺がんが発症することもまったくないわけではありませんが、若い人が前立腺がんを発症するのは、まれなケースといえるでしょう。
前立腺はどこにありますか?
前立腺は、尿道の周りにある「内腺」と、その内腺を覆うようにしてある「外腺」に大きく分けられます。その構造をミカンにたとえるなら、実の部分に相当するのが内腺で、皮の部分にあたるのが外腺です。
前立腺は、生まれたときにはわずか1gほどの重さしかありませんが、精巣から分泌される男性ホルモンの働きによって発達していきます。成人になると、前立腺は直径が約4cm、重さが15gから20g程度に成長します。
前立腺肥大症と前立腺がんはどう違うのですか?
前立腺肥大症と前立腺がんとでは病気の性質が異なります。前立腺肥大症は良性の病気で、他の臓器に転移することはありません。これに対して、前立腺がんは悪性の病気で、前立腺以外の臓器にも転移します。発生する場所にも違いが見られます。前立腺肥大症は、尿道の周りにある「内腺」と呼ばれる部分にできますが、前立腺がんの場合は、そのほとんどが内腺の外側にある「外腺」に発生します。
前立腺肥大症は尿道に近い場所に発生するため、尿道や膀胱が圧迫されやすく、尿が出にくい、トイレが近いといった排尿障害が比較的早い段階から見られます。それに対して、前立腺がんの場合は尿道から少し離れた場所に発生するため、かなり進行しないと排尿障害は現れません。
前立腺がんの患者さんは増えているのですか?
前立腺がんは、もともと白人や黒人に多い病気で、日本人には少ないとされてきました。しかし、高齢者の増加や食生活の欧米化に伴う動物性脂肪の摂取量の増加などにより、日本人においても前立腺がんの患者さんは増えています。
2004年のデータでは、1975年に前立腺がんを発症した患者さんは2,000人程度でしたが、2000年には約23,000人、2020年には78,000人以上となり、前立腺がんの患者さんは今後も増加し続けると予測されています。
前立腺がんかも・・・と悩んでいますが泌尿器科に行くのは抵抗があります。泌尿器科でないと駄目でしょうか?
すでに何らかの自覚症状があって、前立腺肥大症や前立腺がんではないかと心配している場合は、すぐに泌尿器科に相談するほうがよいでしょう。かかりつけの病院がある場合は、そこから紹介してもらう方法もあります。
また、ご家族に前立腺がんの方がいたり、年齢的に気になるようであれば、前立腺がん検診(PSA検査)を受診してみましょう。PSA検査は前立腺がんの早期発見のための最も有効な手段です。最近ではPSA検査を実施している自治体も増えており、集団検診の通常の血液検査項目に加え、オプションで行うことが可能です。PSA検査を希望される場合は、市町村の集団検診や人間ドック検診などに問い合わせてみましょう。
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